
ニューヨークの「窓」にこだわり続けるアーティスト
郷津雅夫さん(49-当時-)は「窓」をテーマに作品を制作しているアーティストである。長野県出身の郷津さんは、1971年に渡米。最初は油絵を志したが、金銭的な理由と現実をよりリアルに表現したいと写真を始めた。大工のアルバイトをやりながら、ニューヨークのブルックリン、チャイナタウンなどで窓辺に立つ東洋系やヒスパニック系の移住者たちを撮り続けた。
なぜ、そんなに窓にこだわるかというと、
「窓枠がフレームになって、窓辺にたたずむ人びとが見せる表情や生活感がそのまま現実の絵になるから」
と郷津さんは言う。
「一番印象に残っている作品は、チャイナタウンで写した中国人のおばあさん。この巨大都市にいる恐怖感がそのまま出ていて、それは同時に自分自身の姿でもあったのです」
十年前から取り組んでいる窓のオブジェは名高いコレクターの目に止まり、フロリダのとある島やニューオリンズの某製薬会社の庭に屋外彫刻として展示されている。
個展も、昨年のパリ、今年の二月のニューヨークに続いて十月から東京で開催中。(十月四日より東京・日本橋ツァイト・フォト、十月五日よりイル・テンポ、十月二十二日より新宿三越新館にて ※当時の情報です)
イースト・ヴィレッジで奥さんと二人暮らし。シベリアンハスキーのシロ君も大切なパートナーである。
(撮影 本社 井上隆夫)

文中に出てくる「ニューオリンズの製薬会社の庭」に展示されている作品「FIRE」
